私自身も中小企業のWeb担当者をして、「どうすれば結果が残せるのか」「良いサイトを作れるのか」「お客様に喜んでもらえるのか」というのを考えてきました。その結果、マーケティングというものが不可欠であり、Web担当者は、マーケティングの知見も持たないと行けないと考えるようになりました。
そんな考えのもと様々な参考書をマーケティング書籍だけでなく、経営戦略のものやSEOやリスティング広告の技術書などを読み、血とし肉としてきたつもりです。そんな中、現時点で「こういう形でマーケティングを行えばよいのではないか」という私なりの考えを紹介したいと思います。
マーケティングの定義について
マーケティングと言う言葉は、人によって解釈が違う場合があるので、この「マーケティング」という言葉の定義は以下のようなものを指すこととします。
「企業のもつ知財・資産・状況に合わせて、目標(売上など)を最大化するために行う施策」
なぜマーケティングが必要か
Web担当者がそこまでするの?と思うかもしれませんが、Webサイト改善も広告運用も突き詰めていくとマーケティングという戦略がないと、効果を最大化出来ないと私は考えています。なぜなら会社として強みや差別化などの戦略を共有していかなければ、部署間の認識の不一致などエラーが起こるからです。
例えば、営業部はAという商品をBという強みで売りたいのに、広告や自社サイトにAという商品があまり目立たず強みもCという強みで訴求されていれば売れるものも売れない状況になってしまいます。
なので、マーケティングというものはWeb担当者も知見を持つべきだと考え、もし会社がうまく機能していなければ一つの改善方法として提案するのは悪くないと思います。
以下が、私が考える改善方法の一例です。
まずは企業の強みや状況を可視化・共有する
まず私の場合は、企業の強みは何なのか弱みは何なのかをフレームワークを使って可視化します。
フレームワークは色々あると思いますが、私はクロスSWOTを使っています。
もちろん自分だけでなく、各部署のなるべくやる気があり(可能であれば偉い人)協力的な人を探し出し、複数の視点で強みと弱みをひねり出します。ここでひねり出した強みをWebサイトや広告運用に応用していくことになります。
中小企業の場合は、なにもないという悲観的な方も多いかもしれませんが、そこは踏みとどまって「A社の方が良いかもしれないけどウチもそこそこ出来るよな」ぐらいなものでも構いません。とにかく可視化し各部署や経営層と共有します。経営層との共有は、難しいかもしれませんがこれをやらないと、イチ部署の暴走になってしまうので全社一致で取り組む必要があります。
これは私のやり方ですが、いきなり社長室に乗り込んでプレゼンしても無理なので、周りの偉い人から外堀を埋めていくやり方をしていました。取締役級ないし部長級の方々と話す機会を徐々に作っていき、「Webで結果を残すには論理的にやらないと~」などと刷り込み?をしていきます。そして、徐々に理解を得ることで社長までたどり着きます。なので、時間は結構掛かると思ってください。(もし個人的に社長と仲良く慣れれば、直で提案するのもありだと思います)
競合他社との関連性を可視化する(STP分析1)
いわゆるポジショニングマップというものを作成します。提供価値1と提供価値2の2軸で考え、競合他社A・B・C・・・と自社との関連性を可視化します。
このポジショニングマップを作成することにより、自社の強みを再確認(提供価値の明確化)したり、空いているポジションを発見し新たな価値を生み出したり、差別化を図ったりと様々なことに使います。
次に市場のニーズとユーザーの属性を可視化します(STP分析2)
所属する業界の市場にあるニーズは何なのか、そしてユーザーの属性はどのような属性がいるのかを可視化します。
自社の商品や強みに合わせて、どの市場のどのユーザーを狙うのかを可視化し会社として共有することは、Webで集客する際に利用するだけでなく、クロージングをする営業部などと同じ意識が持てるので、営業部へ見込み客を送客する際にギャップが起きづらくなり、無駄が減ることにも繋がります。
STP分析までの成果を元により具体化する
前述までの分析を元に、マーケティング・ミックスというフレームワークを利用して「価値」について可視化・共有していきます。
価値には4つあり、「製品の価値は何なのか」「価格はどの程度が適切か」「どのような販路で売るのが適切か」「どのようなプロモーションをかけるべきか」といったことを決めていきます。
ここまで揃っていれば、Webサイトを作るのも、広告媒体を選ぶのも、広告を作るのもすごく楽になります。
ただ私の能力不足か、ここまで徹底できたことは今のところはありません。100%は目指さずに理想は理想として、現在の会社でできる範囲で行い、自社の目標(売上など)を最大化するために行う施策をうっていきましょう。
これまでの経験を元に思うこと
中小企業の場合は、経営戦略や事業戦略というものがない企業が結構あります。
結構無計画に動いていて、現場の個人のチカラで乗り切っている会社を良く見てきました。
中小企業でも優秀な人はいるものです。ただ属人的になっている状況は会社にとってリスクだと思ってきました。
とある企業に勤めているときに、その現場の個人のチカラで何とかしている人と組んでマーケティングに取り組めた機会がありました。そのときが私の経験上、もっとも成果を残せたときであり充実した時間でありました。
何が言いたいかというと、その会社でもっとも仕事ができる人と組み、論理的な動き方を会社としてするように導くのが中小企業のマーケティングの一つのやり方なのではないかと思った次第です。(組織と個人のチカラの融合)
ただ、どんな企業にも既存のやり方を貫きたい人や、面倒くさいといって動きたがらない人、そもそも社長がやり方を変えたくない人の場合もあるでしょう。
そんなときは、100%理想でなくてもその会社でできる限りのあなたに出来るマーケティングを行えばよいのではないかと思います。
マーケティングについてまとめ
- クロスSWOTなどで企業の強みをひねり出す
- ポジショニングマップで提供価値の明確化・差別化を行う
- 市場のニーズとユーザー属性を可視化し、どの市場のユーザーに売り込むのかを決める
- 上記を元に商品・価格・販路・プロモーション戦略を決める
- 提案する際は、いきなり社長や取締役クラスに挑まない(外堀を徐々に埋める)
- 100%理想を目指さず、出来る範囲で行う