2026年5月16日更新
社内異動や転職で新たにWeb担当者になったとき、何から手をつければよいか迷う方は多いはずです。受け身で指示を待つ人もいれば、自分から動く人もいるでしょう。
本記事では、筆者がWeb担当者として着任した際の実体験をもとに、現場で確実に信頼を勝ち取り、成果を出すための「最初のステップ」をご紹介します。(※トップダウンのみで動く組織ではなく、担当者の裁量が活かせるボトムアップ型の組織を前提としています。)
1. ビジネスモデルとWebサイトの関係を図解する【目的の把握】

いきなりWebサイトの管理画面を開くのはNGです。まずは社内の有識者(上司や営業担当)を捕まえ、会社の「ビジネスモデル」を聞き出しましょう。
集客から受注、リピートに至るまでの流れをフローチャート化し、各プロセスでどのような数値管理が行われているかを確認します。Webサイトだけを部分最適しても、その後の営業プロセスにボトルネックがあれば会社の売上には繋がりません。「部分改善ではなく全体最適」を意識するための重要なステップです。
全体像を掴んだら、その中でWebサイトが担う本当の役割を定義します。現代において、Webサイトは単なる名刺代わりではありません。「CRM(顧客管理システム)へ良質な見込み客データを渡すハブ」であり、「AI広告に学習させるための成功シグナル(CVデータ)を収集する場」でもあります。この役割を上司や関連部署と率直にすり合わせ、「自分に期待されているミッション」を明確にしてしまいましょう。「空気を読んで察する」より、最初に聞いてしまう方が確実です。
2. 目的を踏まえた「データ基盤」の現状把握

ビジネスの全体像とミッションを掴んだら、次は現状数値の把握に移ります。
フローチャート化した各プロセスの現在・過去のデータを整理するとともに、Web担当者として以下の「データ基盤」がどうなっているかを急いで確認してください。
- アクセス解析と広告成果:GA4(Google Analytics 4)は正しく設定されているか? 広告経由の費用対効果(CPA)はどの程度か?
- コンバージョン(CV)の定義:いきなり「購入・問い合わせ」だけでなく、動画視聴や資料ダウンロードといった「マイクロコンバージョン」の計測ができているか?
- システム連携:獲得したリード(顧客情報)は、手作業ではなくCRMなどに自動連携されているか?
社内レポートにまとめる際は、体裁よりも「どこに課題(データの穴)があるか」を分かりやすく伝えることを重視します。
3. 目的に沿ったリサーチ(生成AIの活用)

社内の現状を把握したら、次は社外(ターゲットと競合)に目を向けます。
- ターゲットユーザーの調査:既存の調査資料がなければ、ペルソナやカスタマージャーニーマップを作成し、顧客のリアルな実像とニーズを掴みます。
- 市場・競合調査:市場規模、競合他社の強み・弱み、そして自社のポジショニングを整理します。口コミサイトなどを確認し、「社内が思っている自社の強み」と「顧客が感じている強み」にズレがないかも重要です。
【ワンポイント:リサーチには生成AIを活用する】
中小企業の1人Web担当者がこれらをゼロから手作業で調べるのは困難です。ChatGPTやClaudeなどの生成AIに「自社の業界と商材」を入力し、「ペルソナの叩き台を作って」「主要な競合とポジショニングマップを作成して」と指示を出しましょう。数十時間かかるリサーチ業務を数十分に短縮でき、精度の高い壁打ち相手になってくれます。
4. TODOリストの作成と、責任者とのすり合わせ(スモールスタート)
社内外の調査を終えたら、やるべき改善策をTODOリストとしてまとめ、上司や責任者と打ち合わせを行います。
調査結果と自分なりの考察をぶつけ、最終的な優先順位を決定します。このとき、予算と時間がかかる大規模な改修をいきなり提案するのではなく、前回の記事でも触れた通り「費用負担が少なく、効果が出やすい部分からのスモールスタート」を提案すると、稟議が通りやすく信頼に繋がります。
5. 優先度の高い業務から実行し、小まめに報告する
確定したTODOリストをもとに、期限を決めて実行に移します。特に期間の長い業務については、途中で「今ここまで進んでいます」と中間報告(チャットやメール)を入れるだけで、社内の安心感と信頼度は劇的に高まります。
まとめ
- いきなりサイトを触らず、ビジネスモデル全体をフローチャート化し、Webサイトの役割を定義する。
- 「察する」のではなく、自分に求められているミッションを率直に確認する。
- GA4の計測状況やCRM連携など、データ基盤の現状を数値で把握する。
- 生成AIを活用して、効率よくターゲットや競合のリサーチを行う。
- 調査結果をもとにTODOリストを作り、責任者と優先順位(スモールスタート)を合意して実行する。
以上が、新任Web担当者が着任後に実践すべきロードマップです。正解は会社によって異なりますが、ビジネス全体を俯瞰する視点を持つことで、単なる「作業者」から「Webマーケティングのプロ」へとステップアップできるはずです。