小さな会社がWebサイトを活用する方法

変わりゆく時代の中で、小さな会社もこれまで通りのやり方ではうまくいかず、Webサイトを活用しなくては生き残っていけない時代になってきました。
しかし急にWebサイトを活用すると会社で決定を下しても、何をして良いかわからないと思います。
そこで本記事では、小さな会社がWebサイトを活用する方法を順序だてて説明していきます。

会社のビジネス戦略を立てる

会社の基本構造である、経営理念・経営戦略・ビジネスモデルを再確認します。
特に重要なのは、経営戦略とビジネスモデルです。
この経営戦略とビジネスモデルはざっくばらんに言うと、会社が競合他社に勝ち、生き残っていく理論的な仕組みを構築するという意味です。
この経営戦略とビジネスモデルが確立されていないと、社員が同じ方向を向いて仕事が出来ません。A部長はBが会社の強みと思い、C課長はDを会社の強みと思っていては組織的な動きはできません。
なので、この経営戦略とビジネスモデルは重要となってきます。経営戦略とビジネスモデルがすでにある場合は以下は飛ばしていただいて構いません。

経営戦略とビジネスモデルの立て方

この経営戦略とビジネスモデルを立てる方法は、書籍等で様々なやり方が紹介されているとおもいます。
作り方は会社に合ったものを参考に調整を加えながら確立していく必要がありますが、根本となるものは最初の段階で立てなくてはいけません。

戦略やビジネスモデルの立て方を具体化すると以下のようになります。
これは数字の順番順に行いますが、最終決定するまでは矛盾が生じないようにする必要があり、矛盾が生じた場合は立ち戻って立て直す必要があります。

  1. ビジョンを明確化する
    社員にわかりやすい目標を提示します。このときある程度数値としてわかりやすいものが望ましいです。
    何がゴールなのか社員にわかりやすく提示することが重要です。(●●分野のシェア▲割獲得、●●事業で月粗利▲万円など)
    この目標の数値は、実現可能な数値でなくてはいけません。夢のような数値を立てては、社員は最初から諦めてしまいます。
  2. 経営環境分析、経営資源分析をする
    こういった分析には数々のフレームワークが存在します。
    この段階では3C分析という市場・顧客・競合・自社に関する分析フレームワークと、SWOT分析という強み・弱み・機会・脅威を分析するフレームワークを利用することをお勧めします。こういったフレームワークは万能ではありません。前述の要素(自社の状況)をを見える化できればフレームワークを使用しなくても構いません。
  3. 目標設定する
    ここではビジョンで示した数値に達成するための目標設定をします。
    目標設定の仕方は、市場規模や市場成長率、自社のシェアなどを用いて計測可能な数字を目標として設定します。
    ここでも達成可能な範囲を目標に設定し、かつ月単位など時間で目標を区切った設定方法が望ましいです。
  4. 事業範囲を設定する
    どの土俵で戦うのか。X軸に顧客や市場、Y軸に製品やサービスなど提供する価値を設定し、どの立ち位置で自社製品を打ち出すのかを見える化します。
    ポジショニングマップのようなものです。(例:高級志向な顧客へ流通量の少ない価値ある商品を提供するなど)
  5. 競争戦略を設定する
    有名な戦略モデルで、ポーターモデルやコトラーモデルがあります。いかに簡単な説明をいれますが、自社にあった戦略を選択する必要があります。
    ポーターモデル:差別化戦略・コストリーダーシップ戦略・差別化集中戦略・コスト集中戦略に分類し戦略を実行する。
    コトラーモデル:リーダー・チャレンジャー・ニッチャー。フォロワーに分類し戦略を実行する。
  6. 市場戦略/マーケティング分析をする
    ここではマーケティングミックスと呼ばれているものを活用します。製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion)の頭文字をとって「4P」とも呼ばれます。詳細は別途調べていただいた方が良いと思うので省きますが、4つの価値をバランスよく矛盾なく戦略化することが重要です。
  7. 上記で設定した事柄を実行できるようにする
    ここまで分析し、戦略を立てたことで理論上は価値が創出できるようになったと思います。
    しかし理論上なので、実際にその価値を創出するためにはどのようなことをしなければいけないかを考えます。

会社の戦略に沿って、自社サイトの役割や目的・目標を決める

会社の戦略で決まっている目標にWebサイトがどのように関わるのかを決める必要があります。
例えば新規見込み客の獲得が目的であるのならば、会社の戦略上の目標数値にどの程度Webサイトが寄与するのかを目標設定します。
月に新規見込み客をこれまでの方法で7割、Webサイトから3割などとし、具体的な目標数を設定します。
役割と目標数が決まれば、あとは以下のような考え方で物事を進めることが可能です。

  1. 【KGI】目標ゴール数(例:Webサイト経由での新規見込み客獲得数)
    ここでは新規見込み客獲得数を100とします。
  2. 【KPI】目標ゴール数に関連するWebサイト上の指標数値
    アクセス数・新規見込み客獲得率(CVR)が主な指標となります。
    目標獲得数が100なので、例えば10,000アクセスあるサイトの場合、新規見込み客獲得率が1%であれば、目標の新規見込み客獲得数を100をクリアすることができます。
    もう一つ重要な指標として新規見込み客獲得単価(CPA)という数値があります。
    例えば1000万円の広告をかけて、新規見込み客を100獲得したとするとCPAは10万円となります。
    商材によってはこの10万円でも利益がでるのかもしれませんが、出ない場合の方が多いかとおもいます。
    赤字になってしまっては元も子もないので、CPAも管理する必要があります。
    よって、アクセス数・CVR・CPAの目標値を決めて運用するのが良いと考えられます。
  3. KGI・KPIに沿った集客方法の選択・改善、Webサイトの改善、追客方法の選択・改善
    上記で「アクセス数・CVR・CPA」の目標値を決めたら、具体的にどのような集客でアクセスを獲得し、どのようにユーザーをゴールに導き、サイトを訪問したユーザーにどのように再訪問をしてもらうかを考え、戦略を立てます。ここがWebサイトを活用できるかどうかの肝になります。
    この戦略を立てるときに、会社の戦略・ビジネスモデルがないと軸がない戦略になってしまい、よくない結果が出やすくなります。

具体的なWebサイト活用戦略を立てる

ここまできてようやくWebサイトの活用戦略を立てられるフェイズに入ります。
しかし小さな会社の場合、Webサイトの活用方法に詳しい方がいないのが普通だと思います。
なので、実作業は外注するのが基本です。(インハウスで詳しい社員を雇うのがベストですが難しい場合が多いです。インハウスの解説はこちらをご覧ください)ただし、ただ外注するのではなく、しっかりとコントロールする必要があります。
ここからは集客とサイト改善にわけて外注先を考えていきます。

集客の外注先

基本的には第一選択肢は広告代理店となります。広告代理店は集客のプロフェッショナルです。
しかし注意しなくてはいけないのが、集客のプロフェッショナルを名乗っていても本当にプロなのはごく一部ということです。
また広告代理店の手数料は20%が基本です。地方にいけばもう少し下がると思いますが、広告運用費が低い場合、ディスカウントには応じてもらえないことが多いです。
このように広告代理店の選択、そして契約してからのコントロールは非常に難しいです。
知識がないと月次レポートだけ出されて、まともに運用されないこともあります。広告代理店側からすると、あくまで広告代理店に利益が入ればよいので、御社の利益はあまり考えられないということもあります。なので、そのような広告代理店を選ばない、選んでもちゃんと仕事をさせる知識が必要です。

広告代理店の選び方は、大きい代理店だから良いというわけではありません。口コミもあまりあてにしない方が良いです。
契約を結ぶ前に必ず打ち合わせをすると思うのですが、その打ち合わせで相手の度量や契約後のやり方を聞き出す必要があります。
そして契約も1年単位など長いスパンではなく、1か月などダメならすぐに契約解除できるようにする必要があります。
もちろん相見積もりを取ったりと、3社以上は実際に打ち合わせをしましょう。

広告代理店の見極め方ですが、まず1つ目広告の管理画面を自由に見せてもらえるかどうかがポイントになります。
これを見せないという会社は、ちゃんと広告運用をしてくれるか怪しいです。広告の管理画面を見せられないということは、監視されるのを嫌がっていると同じです。
こちらも広告の管理画面を見られるようにし、数値をみて良い悪いを監視し、経過が良くない場合は広告の管理画面などの数値に基づく具体的な改善案を出してもらうようにしましょう。

2つ目は打ち合わせ相手が営業の方なのか、広告運用者なのかです。
今の時代、直接打ち合わせをしなくてもオンライン会議が出来ます。なので、必ず一度は広告運用者の方とも打ち合わせをしましょう。
そこで、その方の能力を見極める必要があります。過去の実績や、過去うまくいかなかったときどのように改善したのかを聞いたりして、その方の実力を見極めます。
もちろん運用をその打ち合わせ相手の方にやってもらうように取り決めをしましょう。

3つ目は契約後のフォロー体制です。
毎月もしくは必要なときに打ち合わせをするのか、月次レポートだけなのかによって運用開始後の結果は大きく変わります。
広告運用は開始してすぐに結果が出ることは稀です。徐々に良くしていく必要があるのに、月単位でしか打ち合わせを出来なかったり、そもそも打ち合わせがなくレポートだけなんていうのは論外です。
広告運用が軌道に乗るまでは、頻繁に打ち合わせをしてもらえる会社の方が、より早く広告の効果を出せるはずです。

上記のように広告代理店を使う場合は、色々と気をつけなくてはいけないことが多いです。
悪い広告代理店に騙されないように気をつけましょう。

Webサイト改善の外注先

Webサイト改善の外注先は、広告代理店と連携の取れる会社にしましょう。
なぜなら、広告とWebサイトは表裏一体、広告の文章とWebサイトの内容に矛盾があればおかしなことになってしまいます。
広告を外注する広告代理店が、LP(広告用ページ)に強ければ良いのですがそうとは限りません。
その場合は、LP制作に強い会社を探しましょう。このときも注意点は広告代理店を探すときと同じです。
しっかりと打ち合わせをして、能力を見極める必要があります。

この広告代理店とLPを制作する会社の他に、余裕があればSEO(検索順位を上げる施策)に強い会社も活用できると良いです。
広告だけに頼ったWebサイト活用は、広告費がかさむだけでなく、お金での競争になりがちなのでコストパフォーマンスがあまり良くないとも言えます。
SEOを行い、自然検索で上位表示されるようになり、そこから見込み客などを獲得できるようになれば、かなりWebサイト活用のコストパフォーマンスは良くなります。

ここで注意したいのは、SEOを外注任せにしないことです。
SEOは専門的な知識が必要ですが、検索エンジンであるGoogleの理論を理解していけば社内で内製することも可能になります。
そのサポートをしてくれるようなSEO会社を探しましょう。
最初はSEO会社に任せた運用を行い、徐々に社内に内製化していくというイメージです。
そのようなサポートをしっかりしてくれる会社はまだ少ないですが、存在します。
こちらも上記のような要件で依頼が出来る会社を打ち合わせを重ねて探しましょう。

フリーランスを活用する方法もあり

集客もWebサイト改善も会社に依存したものではなく、その会社にいる人材に依存したものです。
広告代理店が運用・改善するのではなく、広告代理店に在籍している社員が運用・改善しているのです。
そう考えると、優秀な人であれば外注会社を通さなくても良いということになります。

フリーランスの人材は、仲介会社などを通して獲得することが可能です。
ただ前述したとおり、結果を残せるかは人材の能力によるところが大きいです。
会社に外注するのと同じように、しっかりと相手を見極める必要があります。
ただ相手はフリーランスとなるので、広告管理画面を見せてくれないということや、広告運用者が別にいるということはないので、その点は安心できます。

まとめ

  • Webサイトを活用するには、まず会社の経営戦略やビジネスモデルといったものをしっかりと練らなくてはいけない
  • 経営戦略やビジネスモデルを前提として、Webサイトの利用方法や目的・目標値を決める
  • 外注先は慎重に打ち合わせを重ね、何をどこまでやってくれるのかを確認して選ぶ