サイト集客は、いわばWebサイトにとっては蛇口のようなもので、これをしっかり捻りアクセス数を増やさなければゴール(以下目的とする)であるお問い合わせからの発注、もしくは商品の購入などの目的も達成できません。
しかしアクセス数を増やせば良いというわけではありません。間違った集客の仕方は、成果につながらないどころか一歩間違えれば会社に損害を出します。
ということで本日のお題は、自社Webサイトを運営する際のスタート地点である集客についてです。
内容は大まかに分けると、Webサイト集客の基本的な考え方と、中小企業に効果的と考えられる集客媒体についてとなります。
Webサイト集客の基本的な考え方
まず私が集客施策を実施する際に基本としていることから説明したいと思います。
中小企業でも大企業でも変わらない原則で、集客をする際に注意を払わなくてはいけないポイントです。
それは、その集客施策で集めたアクセスは目的に繋がっているのか?という点です。
ここでいう目的は、いわゆるWebサイト上でのお問い合わせ獲得ではありません。ビジネス上での目的です。
自社のビジネスは何かを考える
会社によって様々ですが、お問い合わせだけで利益が発生し、それを目的としている会社はほとんどないかと思います。余談ですが、比較サイトなどを運営されている場合は、お問い合わせ獲得が目的とも言えますが、真の目的はそのお問い合わせがユーザー、つまりお問い合わせした人の役に立っているかとも考えられるます。
お問い合わせを獲得し、そのお問い合わせを元に見込み客といえるお客様へ電話なり資料発送をし、契約や発注を獲得して初めて目的を達成するというのが一般的だと思います。
なので、Web担当者の役割はお問い合わせ数を単に増やせばよいとは言えません。ビジネス上の目的を達成するために必要なお問い合わせを多く獲得することが目的と言えます。
よってWeb担当者はお問い合わせを獲得した後、そのお問い合わせがどうなったのかを追跡する必要があります。
数が少ないうちは、エクセルなどで管理し社内の関係者とコミュニケーションをとって、お問い合わせがどうなったのかを聞くなどでも何とかなるかもしれませんが、それでは非効率ですし何より数が多くなったら崩壊します。
通常は、CRM(Customer Relationship Management(カスタマーリレーションシップマネージメント)の略語)ツールと呼ばれる顧客管理システムを使って、各お問い合わせに効果があったかどうかを測定します。
Google Analyticsといったアクセス解析ツールで自社サイトの内部改善をするのも重要です。
しかし、その改善でお問い合わせ数が増えてもビジネス上での目的が達成されていなければいけません。あえて強く言うと、目的に寄与しなかったその改善は意味がなかったと言えます。
その集客施策の費用対効果は適切か?
次に考えるのは、集客施策に広告費などのコストが掛かっている場合、費用対効果を考えます。
わかりやすいのは、ショッピングサイトです。ショッピングサイトの場合、商品購入=目的となっていると思います。しかし、1つの商品購入というに目的に対してかけた集客施策のコストはいくらかかっているでしょうか?
これを考える際に知らなくてはいけないのが、CPA(Cost per Acquisition)という言葉です。
CPAとは、1件売り上げるのにいくらの集客施策費がかかったのかで計算します。
例えば、10万円の広告を出稿し10件の購入が合った場合は、CPAは1万円となります。
今回はショッピングサイトを例にしているので、そのCPAと商品の仕入れコスト(自社製品であれば原価)や発送費用などかかった費用を計算して利益が出ているかどうかを計測する必要があります。
利益が出ているのであれば、その集客施策の費用対効果は合格ということになります。ただし、微小な利益の場合は人件費などを考慮すると不合格という判定をする必要があるかもしれません。
以上のように、Web担当者は費用対効果という側面でも集客施策を管理する必要があります。
今回は、1つの集客施策による費用対効果を例にしましたが、複数の集客施策を同時に走らせていると、A広告を自社サイトへアクセスし一旦サイトを離脱、B広告をみて再訪問して購入に至ったという場合などは、より効果測定が複雑になりますが、今回はここまでとし別途取り上げることとします。
中小企業に効果的と考えられる集客媒体
集客媒体を選択するときに考えるのは、どのステージにいるお客様への集客をするのかということです。
大きく分けると2種類、顕在層と潜在層です。
顕在層とは、すでに自社ブランドを知っているユーザーや、自社ブランドを知らなくても売ろうとしている商材を買う気で探しているユーザーのことを指します。
潜在層とは、特に今は売ろうとしている商材を欲してはいないが将来的に需要が発生するかもしれないユーザーや、本当は需要があるのにその商材を認知しておらず必要性に気づいていないユーザーです。
基本は顕在層から集客することです。なぜなら、すでに自社の商材を買う意欲があるユーザーなので獲得にかかる難易度が明確に低いからです。難易度が低いということは、何らかの集客施策をしても費用対効果が高く出ることが予想されます。
よって、いきなり潜在層という難易度の高いユーザーを掘り起こしにいくより、まずは顕在層を獲得しに行くことをおすすめします。
今回は、その顕在層を獲得するのに有効な集客施策を紹介したいと思います。
検索連動型広告
Google広告(旧GoogleAdwords)やYahooスポンサードサーチの検索連動型広告が第1の選択肢です。
といいますか、顕在層にアプローチするのはこれしかないというくらいのものです。
この広告はクリック課金型広告といって、1クリックされるごとに広告費が発生する仕組みの広告です。
そのクリックの費用も任意に設定することが可能です。(今はAIを利用した自動入札戦略というのが主流です)
よって広告費をコントロールしやすく、費用対効果の調整も効きやすいおすすめの広告と言えます。
この広告は広告代理店を使わなくても運用が可能です。
広告代理店を使うと代理店手数料という費用が発生します。概ね広告費の20%程度かかるので、例えば100万円広告費を使えば、20万円請求されるということになります。
成果の出せる広告代理店であれば良いですが、経験上中々そういった代理店に出会うのは難しいというのが正直なところです。
それに広告代理店を使うと120万円かかるので、自分で広告運用ができればあと20万円広告を出せたことになります。何かもったいないと感じませんか?
しかし、いきなり何もわからず自分で広告運用をするのも難しいのも事実です。
自分で広告を運用する場合は、しっかりと参考書等で勉強をしリスクを承知の上で挑む必要がありますが、私は長い目で見れば検索連動型広告は広告代理店を使わずに、Web担当者が運用すべきだと考えます。理由は、広告代理店の代理店手数料をこの先ずっと払い続けるのであれば、勉強して実践して自分のものにしてしまったほうが経済的だからです。それに自分のスキルアップにも繋がりますし、会社への貢献度も上がります。
状況によりけりですが、自分でやるか広告代理店を使うかの判断は慎重にしましょう。
リマーケティング(リターゲティング)広告
リマーケティング広告あるいはリターゲティング広告と言われる広告があります。
呼び方は違いますが、意味は同じと捉えていただいて良いと思います。
この広告は、一度自社サイトを訪問したことがあるユーザーを追従し、バナーなどで再訪問を促す広告です。
Googleで言えばGDN、Yahooで言えばYDNという広告で実現することが可能です。
その他にもリマーケティング(リターゲティング)広告はありますが、最初はこの2つを抑えておけば良いと思います。
こちらもクリック課金型広告なので、費用はコントロールしやすいです。
また検索連動型広告と同様に、広告代理店を通さずに運用が可能です。
基本的にはバナーを使用することになります。よって、デザイナーさんや外注会社を利用してのバナー制作が必要になってきます。バナーだけでなく広告文章も書く必要があります。そして、その広告クリエイティブの質が広告効果を左右します。
ちなみに余談ですが、検索連動型広告でもリマーケティング(リターゲティング)広告はあります。
顕在層向け広告で効果を出すには
検索連動型広告、リマーケティング(リターゲティング)広告どちらにも言えることですが、1ヶ月目からうまくいくということは稀だということです。どちらの広告もAIによる自動化が促進されている広告ですが、そのAIに任せたとしても学習期間が必要です。手動で運用する(非推奨)、AIを併用するのどちらにしても効果を出すまでには経験上1,2ヶ月ほどかかります。
その間、何を調整するのかというと出稿するキーワード・広告文章やバナーなどのクリエイティブ・自動入札戦略など様々です。Webサイト運営というのは何でもそうだと思いますが、トライ・アンド・エラーを繰り返す必要があります。
AIも進化し将来的にはこのような苦労は必要なくなるのかもしれませんが、現時点では人間による試行錯誤が広告効果を出すには不可欠となります。
その試行錯誤は、知識と経験が助けとなってくれることでしょう。
まとめ
- 集客は目先の効果に囚われず、ビジネス上の目的を考える
- 費用対効果を計測し、集客施策を評価する
- 広告をうつなら、まずは顕在層向け広告を
- 広告代理店か自分で運用するか、慎重に判断を
- どんな集客施策もすぐには効果は出ない。トライ・アンド・エラーを