デジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉を聞くようになって結構年月がたったと思いますが、中小企業のWeb担当者の皆様はなにか取り組みを行っていますか?
私は、デジタルトランスフォーメーションという部類に入る業務がWeb担当者の範疇かというと微妙な気もしますが、中小企業で特に社内SE的な人材がいない企業であれば、Web担当者が担うのが自然かと考えます。
そもそもデジタルトランスフォーメーションって?
名前だけ聞くと子供向けの戦隊モノに出てきそうな雰囲気がありますが、意味はもちろん全く違います。
ただしっかりとした言葉の定義あるかというと、経済産業省より発表された「『DX推進指標』とそのガイダンス」によると以下のように記述されています。
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」
つまり、以下のようなことが言えるのではないかと私は考えます。
- データやIT技術を取り入れ、論理的な思考に基づき製品やサービス、ビジネスモデルを再構築する
- 社内の各種業務は属人化させず、IT化を推進し業務効率を改善させる
- 既存新規を問わず商品・サービスにデータやIT技術を取り入れ商品価値や競争力向上を図り、顧客満足度を上げる
ここでは、上記をデジタルトランスフォーメーションと定義し話を進めていきます。
中小企業のデジタルトランスフォーメーション
では中小企業でデジタルトランスフォーメーションを進めるには、具体的にどのようなことをすればよいのでしょうか。私は、まずは社員の意識・スキル改革から始めるべきと考えます。
社員の意識改革、ITスキル向上
まずは全社一致でIT化促進をするという号令を、トップダウンで出す必要があります。
先日掲載した「中小企業のIT化(CRMの導入について)」もデジタルトランスフォーメーションの一種と言えるでしょう。この記事でで説明したとおり、
- 目的を明確にし社内各部門と連携をとる
- 基本にしなくてはいけないのは、知識レベルが社員によって異なるという理解
- 大事なのは導入して終わりではなく、しっかりと会社にシステムを根付かせることです。
以上のような項目が必須となってきます。これを成し遂げるには、会社と経営陣がこれまでのやり方を変えるという意思表示をしっかりと示すことと、社員にもやり方を変える意義を説明し付いてきてほしいというリーダーシップをとる必要があります。
この部分は、日頃から社員と経営陣がうまくコミュニケーションを取れているかという人間力にかかってきます。
意思表示・確認を済ましたらいきなりすべてを変えるのではなく、例えばCRM導入などといったあまり金銭的に負担にならないよう、スモールスタートで始めるのが良いと考えます。なぜなら中小企業の場合はあまり予算がない場合が多いのもありますが、いきなり大金を使って投資しても社内の準備が整っていなければ失敗する可能性が高いからです。
CRMのような新しいシステムに触れ、社員のITスキルによっては時間がかかるかもしれませんが粘り強く社内に根付かせていきましょう。毎日触れていくうちに自然とITスキルは以前よりは上がっていくはずです。
それとは別に勉強会などを開催したり、外部のセミナーに参加を促すなどして社員のITリテラシーを上げていくことが、デジタルトランスフォーメーションの成功=将来の利益につながると考えられます。
各種業務の自動化・効率化
前述したとおり、CRMのような利益に直結するデータを扱う業務から取り組むのが良いかと思います。
ただCRMで扱うようなデータではなくバックオフィス業務など、他にも企業によってルーチン化されている業務はあるかと思います。
そのルーチン業務を可能なかぎり自動化することができれば、その業務を行っていた社員のチカラを別の業務に活かすことが出来、会社としてのパワーアップに繋がります。
なので、まずは社内の各種業務をどのように行っているのか、各社員ごとに棚卸しをし自動化出来る業務をリストアップしていきましょう。
またFAXなど紙媒体で行う作業は可能な限り減らしましょう。デジタルでデータを扱える状態にしておかないと、データの解析なども出来ませんし、取り扱いが難しい状態で保管することになってしまいます。
RPA(Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション))という、業務を自動化出来るシステムもありますが、年間利用料が100万円などかかるためデジタルトランスフォーメーションの初期段階には向かないと考えられます。まずは、無料もしくは少額で出来る自動化を行うのが賢明と思われます。
商品やサービスにフィードバック
社内の意識改革、業務の効率化を図ったら最後は本丸です。
あるDXレポートでは以下のような言及がされています。
DX推進には「新たなデジタル技術を活用して、どのようにビジネスを変革していくかの経営戦略そのものが不可欠である」
経営戦略・事業戦略単位で革新を進め、製品やサービス、ビジネスモデルを変革することが最後の本丸と考えます。
スモールスタートで得られたデータや知見を元に、さらなる活用を進めるには何をすればよいのか、製品やサービスにどのように落とし込めば顧客のニーズに応えられるのか、などを戦略単位でまとめ大きく動き会社を成長させることが、デジタルトランスフォーメーションを行い成功させたと言える最終関門だと私は考えます。
中小企業とデジタルトランスフォーメーションまとめ
- 社員の意識改革、ITスキル向上が不可欠
- 社員の業務棚卸しを行い、各種業務の自動化・効率化を図る<
- 得られたデータや知見を元に、経営戦略・事業戦略単位で革新を進める