フォーム改善(EFO)について

サイト改善の手法は色々とありますが、インパクトが大きい改善の一つにEFO(エントリーフォーム最適化:Entry Form Optimization)というものがあります。様々な方法で集客し自社サイトを閲覧したユーザーが最後に訪れるページはお問い合わせフォームやカートフォームページが多いかと思います。

ここでは、EFOについて具体的にどのように行えば良いかを説明します。

まずは現状の数値を把握する

そもそも何ら化の改善施策を施したとして、その改善施策が功を奏したのかわからなければ意味がありません。
なので、まずは現状がどのような数値なのかを把握する必要があります。

GoogleAnalyticsなどの解析ツールを使用する

まずGoogleAnalyticsなどの解析ツールを使用することが前提となります。解析ツールでフォームページまでたどり着いたユーザーが、ゴールページであるサンクスページまでどの程度の割合・数でたどり着いているか、逆に言うと離脱しているか離脱率・離脱数を確認します。
(季節要因などがある場合は、過去1年分の数値をまとめると良いです)

現状の離脱率があまりに通常値ではないと考えられる場合は、何らかの改善策を施す必要があるというわけです。そして改善策を施す際はPDCAをうまく回せるようにするには、仮説・実行・検証の際の指標として過去の数値が必要となるわけです。

離脱率の基準は?

自社サイトのフォーム離脱率を導き出したところで、その数値が良いのか悪いのか判断に困ることもあります。
なぜなら、世間一般でのフォーム離脱率を調査したところで、あくまで平均値であり商材や企業規模など、他の変数が関連してきてあまり参考にならないこともあるからです。
(一応平均を調査したところ、フォーム離脱率の平均は40~50%、多い時で70%程度とされています)

改善するかどうかを決めるには、まず例えば10%改善したらどの程度のインパクトがあるかを考えましょう。
率ではなく数(もしくは売上)を計算して、もし改善できた場合にどの程度の効果を見込めるのかをみて、その数値が高ければ高いほど改善施策を実行する優先順位は高くなります。逆に対して効果を見込めないのであれば急ぐ必要がないか、現状のフォームで問題ないということになります。

フォーム改善策の立案方法

フォーム改善策の立案は、まず入力するフォーム自体に問題がないかチェックするところから始めます。
基本は、入力する項目を最小限にすることでユーザーの入力する意欲を削らないことや、入力のしやすさを高めることになります。

入力フォームのチェックリスト(最低限)

  • 入力項目を最小限にする
    →マーケッターや営業としては色々なデータが欲しいと思う気持ちはわかります。しかし、それはサンクスページまでたどり着いたユーザーのみからいただける情報です。まずはサンクスページまで導くことを優先しましょう。この際に、Web制作を担当するチームだけで決めるのではなく、営業部などクロージングを担当する部署とも相談して決めましょう。ただ、営業部の言いなりになってはいけません。前述したとおり、あれこれ欲しい情報はありますがサンクスページまで到達してもらうのを優先するということを忘れずに、営業部などの関連部署の圧力に屈せずに必要最小限の項目まで削ぎ落とす努力をしましょう。
  • なるべく離脱可能なリンクを削除する
    →フォームページは他のページのテンプレートを流用しないで、グローバルナビゲーションやサイドバーなどの離脱を促してしまうリンクをなるべく排除しましょう。
  • 記述例を掲載しておく
    →電話番号はハイフンありなのか、なしなのかなど一見してわかるようにしておきましょう。
  • 住所自動入力機能を設置する
    →郵便番号を入れると自動で住所の途中まで入力されるような機能を設置しましょう。これはjavascriptなどで比較的カンタンに導入できます。
  • 半角や全角といった指定をしない
    →ユーザー側から見たらかなり面倒に感じるシステム都合での指定はしないようにしましょう。
  • 削除(クリア)ボタンは設置しない
    →最近は減ってきましたが、入力した内容を削除(クリア)するボタンを設置しているフォームもあります。誤ってそのボタンを押してしまったユーザーは、ほぼ間違いなく離脱するでしょう。そのような危ないボタンは設置しないようにしましょう。
  • エラー内容がわかるようにする
    →ほとんどのフォームは、送信や確認ボタンを押した際や、項目を入力した際にエラーが表示されるようになっていると思います。エラーが発生した際は、ユーザーにどこの項目で何が原因でエラーが起きているかわかりやすく表示しましょう。
  • 個人情報保護方針への同意は別ページへ遷移させない
    →個人情報保護方針などへの同意を得る際に別ページへリンクさせるフォームもありますが、可能であればページ内で個人情報保護方針を読めるようにし、同意を得るようにしましょう。
  • SSL(https)化の導入
    →最近はサイト全体をSSL化するのが多くなってきたので、あまりここで言及する必要はないかもしれませんが、フォームの暗号化システムの導入は企業であれば絶対に必要です。

上記は、最低限のチェックリストです。
細かいことを言うと、どのようなステップでフォームの送信が完了するのかを明示すること(入力→確認→完了のようなチャート図)、必須項目は「※」ではなくわかりやすく「必須」と明示する、ラジオボタンやチェックボックスは文字をクリックしても反応するようにする、などといった内容です。

チェックリストをクリアしていても離脱率が高い場合

上記のチェックリストなど使いやすさの面で問題がない場合は、他の原因が考えられます。
ただ入力フォームページまで来ているということは、ユーザーはそれなりにゴールに近づいていることは確かなはずです。そのユーザーを離脱させている原因をひとつずつ潰していくしかありません。

例えば実際にあった例だと、お問い合わせをしたら最後、営業電話が毎日のようにしつこく来るのではないかといった不安をユーザーが覚えていると仮定し、入力フォームの上に目立つように「しつこい迷惑営業電話は決していたしません」というバナーを設置したら離脱率が下がったという例があります。(A/Bテストでバナーありとなしを検証)

このようにフォーム以外にもユーザーが不安になり、離脱する理由はあります。
自社の商材に合わせてフォームに到達したユーザーの心理を読むことが求められます。その際には、別記事で言及したカスタマージャーニーマップが役に立ちます。

EFOシステムについて

EFOを専門とするフォーム最適化システムを提供している会社もあります。
私はあまりEFOにお金をかけることには肯定的ではありません。なぜなら、EFOは5年10年と長期スパンで改善していくものではありません。一旦最適化を行えば、しばらく新たななにかが起きない限り改善後のフォームページで問題ないはずです。そのページにシステムを入れると月額費用を継続的に負担しなくてはいけなくなります。

さらにフォームをEFOシステムに依存すると、別システム(例えばCRM)と連携する際に、EFOシステムが対応していないから導入できないことになるリスクもあります。

よって、私は個人的にはEFOをシステムで解決するのではなく、社内の制作チームもしくは外部協力会社で解決することをおすすめします。

フォーム改善についてまとめ

  • フォーム改善は、EFO(エントリーフォーム最適化:Entry Form Optimization)と言われる
  • 現状の数値を把握することから始める
  • フォーム離脱率の平均を気にするより、フォームを改善できた際の数値で改善するかどうかを決める
  • 前述した入力フォームのチェックリストをクリアする
  • チェックリストをクリアしても離脱率が高い場合は、フォーム以外の理由を推測し改善策を立案→A/Bテストを行う