中小企業におすすめのレンタルサーバー

既存の自社サイトを運用しているサーバーに不安があったり、機能面で運用に問題が出てくるとレンタルサーバーの引っ越しという選択に迫られます。
私自身も中小企業のWeb担当をしていて、そういった事情から何回もサーバーの移転、もしくは新規サーバーでの新サービスサイト立ち上げという経験をしてきました。

今回は中小企業にとって、レンタルサーバーは結局どこが良いのか?というお話です。

中小企業にとってのレンタルサーバー

なぜ「中小企業」と限定しているかというと、大企業の場合は大抵自社サーバーを立てたり、専用サーバーなど借りたりと、予算をあまり気にしなくてよいサーバーを利用しているケースがほとんどかと思います。少なくとも中小企業よりは潤沢な予算があるはずです。
しかし中小企業の場合は、会社にもよるかと思いますがレンタルサーバーというランニングコストという負のイメージからか、予算を制限されがちです。

その予算のなかで、用途にあったレンタルサーバーを選ぶことがWeb担当者には求められます。
基本的にレンタルサーバーに求められるものは、以下のようなことだと考えます。

サーバーの安定性

まずサーバーダウン、つまり落ちないこと。これは絶対に外せないポイントになるかと思います。
私は一度だけ長期的なサーバーダウン事件に遭い、早急なサーバー移転をしなくてはいけないという経験をしたことがあります。

将来のことは誰にもわかりませんし、いくら対策を講じていても人間のやることですから理論的に大丈夫でも事件は起こるものかと思います。長時間のサーバーダウンというのはめったにないことですが、選定の際の最重要ポイントになります。
この点は、レンタルサーバーサービスの過去の実績や対策をじっくり比べて選定すべきポイントです。

サイトが長期的にダウンしても問題ないと会社でも、もしメールサーバーも同じサーバーで運用している場合は要注意です。クライアントやエンドのお客様とメールでの連絡がつかなくなるというのは死活問題です。

私の場合は、可能であれば2つ以上のサーバーと契約することをおすすめします。
もちろん、1サイトだけを運用しているだけだと厳しいかと思います。
しかし、コーポレートサイトとサービスサイト2サイトを運用しているのであれば、分けてサーバーを契約することで、片方のレンタルサーバーでサーバーダウンが長期的に起きても、もう一つのサーバーへ一時的に避難することが可能だからです。

サーバーの初期費用・月額費用

社内稟議を通すのにやはり目立つのは費用面の負担がどの程度かということです。
初期費用に関しては、大抵のレンタルサーバーについてはそこまで高額な費用を請求することはないはずです。というかそこまでの高額な金額設定をしているレンタルサーバーは見たことがありません。(もしくは、これは駄目だと考えてすぐに候補から外していたのかもしれません)

なので月額費用が主な論点になってくるかと考えます。
ただ今時会社のWebサイトはあって当たり前の時代です。自社サイトからの集客でどの程度の売上を確保できているかにもよりますが、その売上を確保する保険と思って最低でも月額3,000円~5,000円程度は出してもらう交渉をすべきかと考えます。年間予算は36,000円~60,000円程度です。月額でそれくらい出している企業もあるので、あまりWeb界隈に詳しくない上司には、その旨説明して稟議を通すと良いかと思います。

もしただのお飾りなWebサイトであれば、格安なレンタルサーバーでも問題ないかと考えますが、前述したとおりメールサーバーも兼ねている場合は別問題です。(そもそもお飾りなWebサイトというのも問題ですね)

サーバーのスペック・機能

私の場合は、気にするのは以下の機能がどうかという点です。

  • MySQLなどデータベースのバージョン対応状況
  • PHPなどサーバーサイドプログラムのバージョン対応状況
  • 前述と被るかもしれませんが、使用するCMSなどが動くという実績があるかどうか
  • サーバーの表示速度、高速化に関する取り組み
  • セキュアな環境でメールを利用できるか(メールサーバーを併用する場合)
  • SSL対応はどのようなプランがあるか
  • 移転の場合は、現状のサーバーで出来て移転先のサーバーで出来ないことはあるか

以上の点を主に気にしてレンタルサーバー選びをします。
まずは、CMSなどのソフトウェアを動かす環境として適しているかを調べます。それが、MySQLやPHPなどです。最新バージョンのCMSを動かすには、やはり最新バージョンのMySQLやPHPなどが求められることが多いです。
そしてそのソフトウェアが快適に動くかどうかという意味でも、サーバーの表示速度への取り組みがどのようにされているのかを見ます。

その他は上記の項目より重要度は低くなりますが、暗号化通信でのメール機能があるか、無料SSLや有料SSLでどのようなプランがあるか、そして最後の点が地味ですが重要です。移転前のサーバーとは管理画面がまったく変わります。なので、それまで出来ていたことが出来なくなることもあります。この点は、無料お試し期間などを利用してしっかりチェックすることをおすすめします。

サーバーの管理機能

レンタルサーバーの管理機能は会社によってそれぞれ機能・UIともに異なります。
しっかり時代に即したUIで管理画面も使いやすい会社もあれば、いつの時代から変えてないのか?と思うような会社もあります。サイトを管理する上で、使い勝手も重要です。こちらも無料のお試し期間を利用してしっかりチェックしましょう。

今は簡単インストール機能を実装しているサーバーがほとんどですが、Wordpressなどを利用する場合で、インストール作業になれていない場合は、そのあたりの機能面もチェックすると良いです。

その他

データベースのバックアップがどのように出来るのか、サイト全体のバックアップ機能はあるかなども重要なポイントになるかと思います。
自動バックアップ機能があると何かと便利ですが、例えばCMSなどの更新や大掛かりなリニューアルの際にバックアップを手動で行う際に面倒な仕組みになっていると作業する際に大変です。このバックアップ面もチェックしましょう。

あとはそこまで気にしなくても良いかと思いますが、HDDやSSDの容量があまりに低すぎないかという点です。そこまで特殊なことをしない限り、HDD容量をオーバーすることはないかと思いますが、念の為確認しておきましょう。

おすすめのレンタルサーバー3選

ここでは私が使用したことがある範囲ですが、おすすめのレンタルサーバーをご紹介します。

エックスサーバー

圧倒的にコストパフォマンスが良く、Wordpressとの相性も抜群なのでおすすめです。
月額900円から利用でき、サイトの高速化対策もされています。
私が利用した限りですが、長期的なサーバーダウンは経験したことはありません。
こちらのサイトは前述までの私の選定ポイントを概ねクリアしているレンタルサーバーになります。

CPI

KDDIグループのレンタルサーバーで、プランは月額3,800円からとエックスサーバーよりお高めになりますが、機能は豊富です。
特に注目なのは、SmartReleaseというステージング環境が備えられているところです。ステージング環境はテスト環境のようなもので、本番環境とほぼ同じ環境でテストをすることが出来ます。そして、問題がないことを確認したらSmartReleaseの機能を使い、ボタンをクリックするだけで本番公開をすることが出来ます。
こちらも私が経験した限りでは、長期的なサーバーダウンはありませんでした。

またこのサーバーは法人利用率が高いこともポイントになります。

さくらインターネット

私が個人で初めて使用したレンタルサーバーだからかもしれませんが、個人で使うことが多いイメージがあります。
しかし、もちろん会社のサーバーとして使用出来ますし、私自身使用した経験もあります。
上記2つのサーバーと比べると見劣りする部分があります。ただ月額524円という安さは魅力的です。
こちらも私が使用した限りでは長期的なサーバーダウンはありません。
ただ気になるのは、私が使用していた期間ではサーバー管理画面が古く使いづらいのが難点でした。(今はロゴも変わっているのでリニューアルされたかもしれませんが、管理画面は懸念材料となります)

番外編

その他、私が運用したことがあるサーバーはGMOのiCLUSTA+というサーバーです。こちらは機能などやれる事に問題はありませんでした。ただ管理画面が前時代的で、UIが悪く非常に使いづらいものでした。
料金的にはそんなに高くないのですが、正直このレンタルサーバーを使うのであれば、エックスサーバーのほうが良いのでは?と感じました。あくまで個人の感想です。
すでに変わっていればよいのですが、ぜひ裏側のリニューアルもお願いします。

最後に、これはあまり書かないほうが良いのかもしれませんが、長期的なサーバーダウンがあったレンタルサーバーで運用していたこともあります。本当に2度と御免こうむるというレンタルサーバーも実在します。サーバー名を書くのは少しためらわれるので、「サーバー障害 2度目」などで検索すると出てくると思います。

中小企業におすすめのレンタルサーバーまとめ

  • 予算や用途に合わせて最適なサーバーを選びましょう
  • 一番重要なのはサーバーの安定性。サーバーの障害が少ない、対策が充実しているところを選びましょう
  • 費用面は共用サーバーであれば、通常は大丈夫なはず。稟議では自社サイトの貢献度などと合わせて提案を
  • サイトが動かなければ意味がありません。サーバーのスペック・機能は予め要チェックです
  • 個人的にはWordpressを利用しているなら「エックスサーバー」、その他であれば「CPI」がおすすめです